ラマダン（イスラム教の断食月）が明ける直前にクラスメートでイスラム教徒のアジズ（エジプト）君にラマダンについて聞きました。

（質問）アジズもラマダンやってるの？

（アジズ）もちろん、やってる。

（質問）僕のアメリカ製のカレンダーには、ラマダンの始まりの日は載っているけれど、終わりの日は載っていない。ラマダンはいつ終わるの？

（アジズ）まだはっきりとは決まっていないけれど、今週の水曜日ごろ。

（質問）まだはっきり決まっていないのなら、いつどうやって正式にラマダンの終了が決まるの？

（アジズ）当日の夜イスラムの聖職者が望遠鏡で月を見て決める。多少月を見るときに解釈に違いがあるので、一日ぐらい地域によってずれることもある。ある国ではラマダンが明けたのに、隣の国ではまだ断食が続いているという具合にね。

（質問）アジズ自身は今アメリカに留学しているわけだけれど、どうやってラマダンが明けたことがわかるの？

（アジズ）隣のジャージー・シティーにモスクがあって、そこに電話で問い合わせる。

（質問）そのジャージー・シティーのモスクはどうやってラマダンの終わりを知るの？

（アジズ）モスクにいる聖職者が月を見て決める。

（質問）アメリカのこの季節なら日が短いからまだ多少断食するのも楽だよね。

（アジズ）そう。日が昇ってから、日が沈むまで食べたり飲んだりできないからね。

（質問）飲むとこもできないんだ。水も飲んではいけないの。

（アジズ）水も飲むことができないから、暑い地域ではたいへんなんだ。でもね、毎日続けていると体が慣れてくるから、それほどつらくもないんだ。

（質問）そういうものですか。

異教徒の中に混じってたった一人で断食をしているのだからたいしたものです。この季節は日没が四時半ぐらいで、アジズはラマダンが始ってからは毎日四時ごろにオフィスを出て家に帰ります。

信心深さとか、断食とかと対局にある「食い倒れ原理主義者」にラマダンについてご意見をうかがいました。この時点ではもうラマダンは明けていました。

（質問）御飯食べた？（ここだけ中国語。これが中国語のあいさつで、特に深い意味はない）

（えば）まだ食べてない。

（質問）ラマダンが終わったんだよ。アジズは一ヶ月ずっと断食していたんだよ。

（えば）？？？（難しい単語を使いすぎ。しかも話が唐突なのでまったく聞き取れない）

（質問）イスラムの人は一ヶ月物を食べないんだよ。（えばが知っていそうもない「ムスリム」とか「断食」とかいう難しい単語を使わずに言うとこうなる）

（えば）？？（言うのが早すぎてまだ聞き取れない）

（質問）イスラムの人はね、一ヶ月間ね、物を食べないの。（もしも「イスラム」という言葉をえばが知らないと、この後は筆談だ。「回教」と書けば通じるかな）

（えば）知ってる。でもね、日が暮れたら食べていいんだよ。（よかった。通じた）

（質問）丸一ヶ月、夜も昼も何も食べなかったら死んじゃうでしょ。アジズは一ヶ月、日中に何も食べたり飲んだりしなかったんだよ。信じられる？

（えば）日が暮れたら食べていいんだよ。（多少話がとんちんかんなのは、よく言っていることが聞き取れていないから）

（質問）彼らにとってはとっても重要なことらしいよ。

（えば）（物を食べないなんて）ばかげてるよね。（そう言うと思っていました）

（質問）えばがそういう立場だったら、周りに人がいなくなった途端に何か食べてるよね。

（えば）「ははは」（何やらつっこまれたことは察知できたが、何を言われたのかよくわからないときのあいまいな笑い）